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勇が巴の手を掴んで髪の毛から引き剥がすと、今度は今しがた読み終えたばかりの絵本の角で頭を殴りつけてきた。 「ちょ、やめろって」 巴は攻撃の手を緩めない。勇は立ち上がり距離を取った。厚手の絵本で思い切り殴られたせいか頭がじんじんとする。勇が頭を押さえていると、遠くに離れた巴が急に泣き出す姿が見えた。 「面倒くさいガキだな」 勇は鬱陶しく思いながらも巴に近づいた。すると、巴は熊のぬいぐるみのようにぺたんと座り、何か奥歯を噛み締めて踏ん張るような顔をした。その瞬間、絨毯にじわぁりと水たまりが広がっていく。 「マジかよありえねぇ」 巴は粗相をしてしまった。勇はこれまでの人生で、この様な現場に遭遇したことがないために何をすれば良いのかが分からなかった。ちなみに「世話を頼む」と、俊子に言われただけで細かい指示は何も受けていない。 この大広間には着替えの類は何もない。着替えがどこにあるかなんて聞いてない。あるとしたら巴御殿にあった箪笥の中だろう。取りに行きたいところだが、目を離すことは出来ない。 すると、巴はズボンが小便で蒸れて気持ち悪くなってきたのだろうか、しきりにズボンの染みをこすり始めた。そして、ズボンを脱ぎだした。 ちなみに巴はおむつは履いていない。和人は巴におむつを履かせようとしたのだが俊子の「この子は赤ちゃんじゃない!」と言う主張により、普通のショーツを履かされている。無論、粗相の処理をするのは和人か義和かうめである。俊子は自分の娘の粗相でありながら「臭いから嫌、粗相の処理はもうしたくない」と言うことで一回も粗相の処理はしたことがない。 「おいおいおい、脱ぐなよ」
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