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「ああも言いたくなります!」 「で、唐突に話から消えるけど、どこに消えたんだろうな? その父ちゃん」 「知りません!」 奈緒美にとって雅紀のことなど、どうでも良いことである。 「単なる嫁いびりかと思ったけど、勇にまで来るとなぁ……」 「本当の逆恨みよ。まさかあんなことするなんて」 「二度と悪さ…… か」 「勇はそんなことしません!」 「そういう意味じゃないんだよ。何かさぁ、このフレーズどこかで聞いたことあるんだよ。民俗学で田舎の因習を調べた時に聞いたことあるんだよ。それも女性から…… いつだったかなぁ?」 「また民俗学の話?」 「仕方ないだろ? 俺はこれの研究で金貰ってるんだから? なんかのレポートでも見たんだけど…… 思い出せないんだ」 「もう…… ああ、そうだ。これから勇を病院に連れて行くので車出してもらえますか」 勇は俊子にあのようなことをされたせいで、日常生活に支障が出る程の心的外傷(トラウマ)を負っていた。その治療のために病院の心療内科に通院しているのである。 それを勧めたのは照義であった。 照義が勤める大学には、付属の大学病院がある。医学部の友人に勇の話をしたところ、是非治療をさせて欲しいと希望を出し、奈緒美にその話を持ちかけたのである。 現に勇は心的要因と思われる胃潰瘍や腹痛や下痢を併発していた為、早期の治療が必要であった。
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