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やはりそうだったのかと、再び写真に視線を送り呟く。不思議なことに、彼の少年のような一面を知る度、心の距離が縮まってゆく、そんな気がした。
「ねえ、ハロルド」
「なんだい?」
写真に添わせた指を止め離すと、振り返りわずかな微笑を湛えてこう訊く。
「ハルって、呼んでもいい?」
その言葉に、彼はほんの一瞬だけ弾かれたように目を丸くしたが、すぐに口元を緩ませ答える。
「ああ、構わないよ」
少しはにかみ気味な彼の表情と自身の目線とがかちりと合い、小さく「うん」と返した後、遠慮がちに声を発した。
「よろしくね、……ハル」
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