#.02 side R ‐決意‐

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   こめかみから脳の奥深くに、ずきん、と割れるような痛みが走り抜ける。 「……っ」  覚えのある痛みにふらりとよろめき、しかし左手で頭を押さえながらも踏ん張りを利かせて、なんとか部屋に入った。 ーーほら、やっぱり君のことなんか覚えちゃいなかったろう?  頭の中で、嘲笑(ちょうしょう)混じりの低い声が響く。 「……いいんだ」  背後のドアに凭れかかると、そのままずるずると床にへたり込む。“彼”は相も変わらず(あざけ)るような口調で続ける。 ーー贖罪(しょくざい)のつもりかい? 「違う……」  項垂れ、喉の奥から絞り出すように独りごちた。単発的に息を荒らげ、両の手で頭を抱える。 ーー自分の父親の死に君が関わっていると知ったら、彼女はなんて思うだろうね。  内側で響く“彼”の声に、リンの姿がよぎり、はっと目を見開く。 「やめろ!」  今、この場で彼女に言うつもりなのかーーそれだけは避けなければならないと、咄嗟に声を張り上げる。だがハルの反応を楽しむかの如く、“彼”は喉を鳴らしくすくすと笑う。  
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