#.02 side R ‐決意‐

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   いつかは伝えなければならないことだと分かっていた。しかしそれは今すぐにではない、もう少し落ち着いてからだ。 ーー全部、君が弱いせいさ。そうだろう、リヒャルト。絶望? 後悔? それとも憎しみ? 本当のことを話した時の、彼女の反応が楽しみだ。 「黙れ!」  感情を逆撫でする“彼”の言葉に、ハルの中でぷつりと何かが切れ、きつく握り締めた右拳を壁に叩きつける。どん、と鈍い音が響くと同時に声は静まり、雨音だけが室内を支配した。  
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