プロローグ

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「あのさ、香」 「どうしたの?」提出しなければならない化学のワークが終わりきっていなかった私は、まっ白なノートへシャープペンシルを走らせながら晴日に受け答えする。  「今度の週末って暇?」 「なにも用事とかはないよー」  ん?この問題って強塩基?弱塩基?  「じゃあさ、どこか一緒に遊びに行かない?」 「え、あ、うん、いいよ」  突然のことで面喰い、挙動不審になってしまった。というかいいのかこれ?なにも考えずオッケーしたがこれはデートのお誘いなのか?  「じゃあ場所とか時間はあとでラインするって感じでいいかな?」  こくりとうなずく。   いきなりどういうことなんだろう。デートと捉えてしまっていいのだろうか。 なに着ていけばいいの。メイクとかして行ったら引かれる感じ? どこに行くんだろう。服だって行く場所に合わせてTPOなんかがあるし、晴日のこともそこまでよくわかっていないから本当に謎だ。 その後の授業は全然手に付かなかった。
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