プロローグ

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私はいつもの通り学校に来て、自分の席についた。寒さよけのマフラーや手袋を外し、巻き取ったイヤホンと共にリュックに仕舞う。  顔をあげて、教室の様子を見る。なんだか教室はいつもよりみんな浮ついていて、甘いというか、たくさんのお菓子の匂いがした。  まあ今日はバレンタインデーだし、それも当然か。  「香(こう)おはよう。はい、これバレンタインのお菓子」  仲のいい園花が私にさっそくチョコの詰め合わせをくれた。  「ありがと!この赤いやつお気に入りなんだよね」  私からもはいどうぞ、と持ってきていた同じような詰め合わせの袋を渡す。  「ありがとう」と園花は笑顔で受け取った。  その後もクラスや部活のあちらこちらでチョコの受け渡しが行われ、今日だけで学年で五カップルが誕生した、と情報通の園花は教えてくれた。
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