プロローグ

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「香さ、けっこう晴日と喋ってるとき楽しそうじゃない?」  晴日が転校してきてから一週間くらい経ったころ。一緒にお弁当を食べている園花にそんなことを言われた。  確かに、思い当たる節はある。  他の人よりも喋る回数は多いと思うし、会話の内容も確かに覚えている。大体の人と喋るときは、一日もすればよほどのことでないと会話の内容なんて忘れてしまうのが私の常だから。  「まあ、割と楽しいかな」 「いいじゃんいいじゃん」絶対これは何かを期待している顔だ。  「別にそういうのじゃないからね!?ただ他の人よりは面白いかなってだけ」  「ふーん。まあなんでもいいや。でさー」そう言って別の話題へ移った。  なんでもいいなら聞かなくてもいいのに。  でも私は、晴日のことを憎からず思っていることに気がついた。  確かに、彼といるのは楽しいと思うし、彼氏にするとしてもいい人なのだろう。園花はきっと私と晴日が付き合うのを期待していたんだろうけど、多分そこまで仲良くなる前にクラス替えで縁が切れるのだろう。
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