泳いだあとのシャワー、そして

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泳いだあとのシャワー、そして

 彼女を待つ間、ゆったりとしたピッチのクロールで泳いでいた。あわてる要素がどこにもない週末の昼下がり。このプールだけが、都会の喧騒を離れ、まるで南の島の宿泊客の少ないホテルに隣接しているかのように、ひっそりと佇んでいる。  1度ターンして、今度は素潜りのように体を沈め、底の方をゆっくりと進んで行く。スルスルと滑るように。  どのくらい時間が経ったのだろうか?  プールから顔を出すと、そこに、彼女が立っていた。笑顔で競泳用の水着で。  「もう、泳いでるの?」  「退屈だったから。」  僕は、水から上がらずに、「入っておいでよ。」と彼女を促した。  「いいわよ。」と言って、ポンと軽く跳ねるようにしたと思ったら、いっきに飛び込んだ。パシャーンとスプラッシュ音がして、飛沫が僕の顔にかかる。ちぇっ、やりあがったな、あいつ。  僕が追いかけて泳ぐのを知っているのか、彼女はピッチを上げて、まるで競泳選手みたいに逃げていく。あれ、水泳やってたな、こいつ。    そうやってさんざん泳ぎで鬼ごっこみたいなのをやった後で、僕たちは少し疲れて、プールサイドのデッキチェアに身体を横たえた。  「これって、全部、君が。」と僕は、ついに堪えきれなくなって訊いてみる。  「なに?」と一際(ひときわ)優しい声を出して、彼女は、「だって、一緒に泳げる人と付き合いたかったのよ。」  「それで、僕なのか。」と独り言のように呟く。  「違う。」と彼女。  「あなたじゃなきゃ、駄目なのよ。」  その時の目力(めじから)の強さに胸がドキドキしてきた。真横に寝そべる彼女の腰の括れ《くびれ》と脚の長さに動悸が高まるのを感じる。  「あのさ、ジーンズさ。」  「なに、いきなり。」  「切らずに履けるでしょ?」  「えっ、ジーンズって切るものなの?」  「出た。それ、他の人の前で言わない方がいいよ。みんな切ってるんだから。」  「そうなの?知らなかった。あなたは切るの?」  「1インチほど。店の人はそのままでいいって言うんだけど、引き摺るのが嫌いで。」  「へぇ、そうなんだ。」    何気ない会話をしながら、この後どうなって行くのだろうと想像しないようにしていた。それでなくても、競技用水着に押し縮められてはいるものの、隠しようが無い胸の膨らみが目に入って、後ろ側に回ってヒップラインも見てみたいという衝動が止まらない。
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