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「無理でもいいだよ、無理じゃないって俺が知ってるから」
その根拠はどこから来るのだろう?
その言葉に対する自信はどこから来るのだろう?
どうして私は彼の顔が見れないのだろう?
わからないことだらけで体がバラバラになりそう。
「それは私の話じゃなくて、主任の話ですよね?」
「知ってるんだよ、俺は君が頑張り屋なことも全部ほかの人間と違って見てきてるから」
同じ言葉を何度も違う人間から言われた。
同じ言葉を私は心の中でつぶやく。
あなたは私のいったい何を知ってるの?
何も知らない他人のくせに知った口きかないでよっ。
確かに転勤したここで私のことを知っているのはこの人だけだ。
でもこの人には何も知られたくなかった。
この人にだけは隠していた。
ぽっかりと離れて空いた1年間も、苦しくて苦しくて苦い思いしかなかったそれ以前もあなたは知らない。
あの頃に私を見ようともしなかったあなたに私の何がわかるの?
わかってほしくなかった。
私の恥ずかしくてみっともない面なんて見せたくなかった。
だって、私はあなたが好きだったから。
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