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廃れゆく家族
「ハッピーバースデーくるみ!」
「おめでとう!」
「ありがとう!!」
今日は次女くるみの4歳の誕生日である。父が大企業の社長であって、誕生日会も豪華だ。くるみの友達を20人ほど呼んで開いていた。ホールケーキが食卓には用意されていた。
「くるみ、さあ蝋燭を消してごらん。早く消さないとパパが消しちゃうぞー」
「フーーーーーー!」
蝋燭は消えて、誕生日会も終わり片付けに入った。
「パパ・ママ!来年もやろうね!」
しかし、幸せな日々はそう長くは続かなかった。
父の会社の経営が傾き、一家の生活は苦しくなってきた。さらに、父が癌になり亡くなった。
「ママー!パパが冷たいよ?どうしたの?」そう言ったのは長女のさきとくるみである。母は頷くしかなかった。その頃から母は変わってしまった。
3日後「くるみ!あんた何やってんの!そこに座らないで!さきも!二人とも邪魔なの!」
このような状況が続き、さきが遂に行動に出た。この行動が二人の運命を左右したかは分からない。しかし、関係はしてるだろう。
さきは母に申し出た。「ママ、これ以上くるみをいじめないで!お願いだから…。くるみの分も私に当たってよ!」
「さき、本当にいいのね?」
「うん…」
「じゃあ、こっちに来なさい。外に出て。早く!」
くるみはそんなことが起こっていたのなんて全く知らない。
「ママー、お姉ちゃん!どこに行ったの?」
それから5分後、母だけ帰ってきた。
「お姉ちゃんは?どこ?」
「あの子はね、どこか行っちゃったの。」
「本当?パパみたいに冷たくなってないよね!」
「うん、しばらく戻ってこないかな。」
その時のくるみは、家から少し離れたところに、6歳の少女が血の海に横たわっているとは知らなかった。
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