となりの席の彼女（短編）

「となりの席の彼女」

クラスでは年に数回の席替えが行われる。
まだ話したことがない生徒同士が万遍なく触れ合い、
親睦を深めるという学校側の趣旨、もしくは配慮というもので行われる。

だが、そんな配慮は、僕と彼女には少しも役に立っていなかったようだ。
なぜなら、僕の隣の席には必ず彼女が座っていたからだ。

それは何度席替えを繰り返しても、同じだった。
教師の手抜きなのか、教師はそのことに気づきもしないし、
他の生徒も「先生・・○○ちゃんと○○くん、いつも隣同士ですよ」とは言わない。

つまり、僕と彼女は・・二人の共通点は、お互いに存在感がなく、
誰にも見向きもされない男女だったからだ。

僕と彼女が毎度同じ席でもそのことを話題にもしない。