最後のひと口、難しい匙加減

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「蒼くん、今日夕食いるの」  朝ご飯から1時間ほどして、蒼が出かける前に伯母である瑞希の母が聞いてきた。 「あー大丈夫。今日は友達と約束があって」 「そう? 瑞希も今日は友達と食べて来るって言って。若いっていいわね。楽しいことたくさん楽しんでおかなきゃね」 「あはは、すみません、お手伝いできなくて。じゃあ行ってきます」 「はぁい、行ってらっしゃい」  人通りもまばらな通学路。冬の短命な日差しが意地を張ったように彼を狙ってくる。  昼間は温かいけれど夕方は寒いと聞いた。仕方ないので厚手のコートを羽織っている。
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