コーヒーはブラックが楽だけど

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 自室に戻った瑞希。  しかし電気を点けた途端に、腰が抜けた。 「お互いの部屋に入るのは禁止」という決まりが採用されている。むしろ1人になりたい時は格好の決まりだった。  あそこまで露骨な間接キスをしたのは初めてだった。  その初めてに、すっかり体の力が抜けてしまった。  どうしよう。  これから、どうしよう。  もしもこれからもっと関係を進めていけるのであれば、一番困るのは場所だろう。家の中ではきっと無理だ。  淡い吐息をもらした。  思わず顔を手で覆った。かあっと火照っている。 「まって……とっくに同じ鍋つついてる。そだ、きっとそれで……」  苦しい言い訳だった。  言い訳でもしておかないと部屋から出られなくなりそうなのだ。
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