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自室に戻った瑞希。
しかし電気を点けた途端に、腰が抜けた。
「お互いの部屋に入るのは禁止」という決まりが採用されている。むしろ1人になりたい時は格好の決まりだった。
あそこまで露骨な間接キスをしたのは初めてだった。
その初めてに、すっかり体の力が抜けてしまった。
どうしよう。
これから、どうしよう。
もしもこれからもっと関係を進めていけるのであれば、一番困るのは場所だろう。家の中ではきっと無理だ。
淡い吐息をもらした。
思わず顔を手で覆った。かあっと火照っている。
「まって……とっくに同じ鍋つついてる。そだ、きっとそれで……」
苦しい言い訳だった。
言い訳でもしておかないと部屋から出られなくなりそうなのだ。
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