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「おかえりなさい。――あ、2人とも一緒だったの」
「そう。ちょうどよく蒼と会ってさあ」
「まあ、付き合わせたの」
申し訳なさそうにする瑞希の母に、袋を持っていた蒼は笑って首を振った。
「大丈夫ですよ。大した買い物じゃなかったし。立て替えは瑞希がしてますし」
瑞希と蒼はしっかり目くばせをする。
高校までの学校に比べて大学は、同じところに通っていても一緒になる確率は低い。瑞希の母がまるで、同じクラスにいる生徒同士のように扱ってくれるのは心底助かるのであった。
舌にわずかに残るあの秘密の味。
周りの大人が思う以上に自分たちは大人だと信じたい彼らだった。
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