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でも、そう言った華澄ちゃんの目はどこか寂しそうで。
やっぱり、漠然とした不安感が拭えないでいるのが見てとれた。
『今度の土曜日、華澄部活は?』
「無いよ。」
『じゃあ、リョウ君に乗せてもらって、前に行ったショッピングモール、また行かない?』
「うん、いいけど…。」
『明日は部活のあと会うし。誕生日も一緒でしょ。あとは…えーと…。』
「なっちゃん、わたし…」
『わたしが会いたいんだよ!わたしが華澄に会いたいの。だから、いいの。ね…?』
「うん…。分かった。」
華澄ちゃんが肩に頭を乗せ、もたれかかってきた。
わたしは、握った手を強く握り直した。
『大丈夫だから。大丈夫…。』
「うん…。」
ポカポカ陽気の3月下旬、約束のデートは、こうして終わった。
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