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“わたしはバカだ。
何で話しちゃったんだろう?
普通に、好きな人はいない。付き合ってる人はいないって、言えばよかっただけなのに…。”
『はぁ……。』
トイレの手洗い台の前で、大きくため息を吐いた。
「なっちゃん、どうかした?大丈夫…顔色悪いけど…?」
みーちゃんが、心配して来てくれたのか、気付くと後ろに立っていた。
『みーちゃん…。ゴメン…気付かなかった。大丈夫だよ、ありがとう。』
「そう?それならいいけど…。」
みーちゃんと一緒に、教室に向かって歩き出す。
“上手く笑えてるかな、わたし…。
そう、ここは地元の中学じゃないんだ。
リエやニシと、毎日笑い合っていた教室じゃないんだ。”
今更、そんなことに気付いた自分。
“あと数日したら、また華澄ちゃんに会えるのに。
あんなに楽しみだったのに…。”
思いのほか気分は沈み、その日は部活にも身が入らなかった。
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