小春日和

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同じクラスの陸上部の彼。最近急に仲が深まり、いつの間にか私の中で彼は友達から男の子に変わっていた。 もしかしたら彼も私の事を好いてくれてるかもしれない、という淡い期待を抱いて過ごす毎日は恥ずかしいくらいキラキラと輝いていて。 恋人同士になれたら…と想像しながら眠るのは、本当に何よりも幸せな時間だった。 でも結局、それは勘違いだったのだけれど。 どうやら彼の中で私は大切な友人であったようで、女の子ではなかったらしい。 なら期待なんてさせないでよ。あんなに優しく接しないでよ。 そう言ってやりたかったけど勝手に期待したのは私。優しく接してくれたのは彼が私の事を大切な“友達”だと思っていた証拠。 彼に非はないのだ。 チョコレートを受け取ってくれなかったのは、この中に私の本気の思いが詰まりすぎて、それを受け入れられないのだから冗談にも貰うのは失礼だという彼なりの優しさだったのかもしれない。 と、隣で風にピンクのリボンをそよがせている茶色の包みを眺めながら思った。 ひとつの恋と、もしかしたら前の様な友情すら失ってしまったかもしれないのに、私は意外にも、非情にも嫌に冷静だった。 「これ、どうしようかな。」 結構な自信作だった。何度も練習したし、母さんにも友達にも試食してもらっておいしい自信があった。 ケーキなんて初めて作ったのに。 苦労はしたけどそのぶんすごく楽しかった。大好きな、彼のあの笑顔が見られるなら。 なんて、ね。 一生懸命すぎるあの時の自分を想像してすごく恥ずかしくなった。 いいや、自分で食べよう。 捨てるのはあまりにも可哀想だ。 するするとリボンをといて箱を開けるとココアで綺麗にコーティングしたチョコレートケーキが現れた。 「せっかく生まれてきたのに…ごめんね。いただきます。」 「それ、アンタが食べるの?」
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