第8話 花恋②

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翠もそう思ったみたいで、2人してそいつが笑う瞬間がこないかどうかと、密かに期待しながらプレイしてたんだよ。 …で、一度だけ笑った時があってな。 ヒロインと某攻略対象者が穴場の観光スポットである、一面が青い花畑に行った時。 2人が綺麗ねとか会話してる感じのスチルで発見した。 その花畑から手取ったのか、一輪の青い花を片手に、もう片方の手は胸元を握りしめて、ふわりと微笑んでいたんだ。 …翠も俺もびっくりして、とりあえずその事をツィークしたんだよ。 他の人にもこのレア中のレアである微笑みを見てほしくてな… なんか変な親心のようなものが生まれていたのか、うちの子ついに笑いました!みたいなテンションでツィークしてしまったんだが… 何とそこから話題になって、そいつの見守り隊まで出来る程、人気が出たんだよ。 王太子殿下が怖過ぎて、攻略対象者にする事が出来ませんと嘆いていた公式さんは、渡りに船とばかりに、そいつの人生を描いた番外編小説を出版したんだ。 ちなみに、番外編小説の第一弾はゲーム内で明かされる事のなかったヒロインの誕生秘話。 そして、第二弾としてそいつの人生を描いた話と、王太子殿下とその婚約者のイチャイチャ話が発売される事となっていた。 俺は、発売の3日前に死んで、こっちに転生したから、詳しい内容まではよく分からない。 …が、噂によるとゲーム内のオリジナルモードで、そいつを攻略出来るらしく、小説自体は出生からその攻略可能時点直前までのお話なんだとか。 …いや、まさかそんなキャラに転生するなんぞ思ってもみなかったし、ゲームの時の記憶が蘇ったの、昨日だからな? ゲームを合法的に常に外から見てられる、そんなキャラに転生したんだ。 …傍観者として生きてやろうじゃねぇか。 俺と翠の理想を叶える為に。 せっかく異世界に来たんだ。楽しまなきゃ損だろ?
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