第8話 花恋②

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「…でも、やっぱり一番は彗ちゃんかな。だって、僕の伴侶(ゆいいつ)は彗ちゃんだけだもん。それに、攻略対象(ほかのこ)は友情エンドで十分だけど、彗ちゃんは恋愛エンドじゃなきゃヤなんだ。…彗ちゃんが大好きだから…この世の誰よりも、素敵な君がね。」 護りたい、その笑顔。 天使が降臨したんじゃなくて、最早翠自体が天使だ。 創りたもうた神と生み育てた親御さんに心からの感謝を。 …いかんいかん、これじゃ、惚気じゃないか。つか、俺キモいな、おい。 いや、確かにそれはそれはもう凄いデレで、可愛かったし、とんだ爆弾を落としてくれたもんだと、必死こいて理性働かせてたけどよ。…色々あって、アイツは子を作る事への抵抗感が強くてな、ヤらない事を条件に付き合う事になったんだ。…婚約の条件にも、それは含まれていてな。 結局死ぬまで、俺もアイツも未経験。 今世も何だかんだ言って、忙しい上にアイツ以上の奴なんて居ないからな。 今世は独身を貫こうと思ってる。 養子になった家で、俺は三男。領地経営や後継ぎといった面倒がない代わりに、家を出なければならないとはいえ、かなりの自由が許されている。 …何故か、養子になって以来、親兄弟に溺愛されているが。そのせいで、『ウィルは嫁にやらん!』とかトチ狂った事を言い出したりしてる。全く、この親馬鹿&ブラコンめ。 俺はそんな愛情求めてないぞ? 世話にはなっているが、愛をくれとは一言も言っていない。 そんな図々しい事言えるわけが無いだろ。 そもそも俺に愛は不要だ。 …前世でアイツに色んなモノを貰ったから。 もう返す事の叶わないモノ達を、心の奥底に大事に大事に仕舞って、今世(いま)を生きているんだ。 …何処にも捨てられない、捨てたくない想いと思い出を抱いて、女々しく、ひっそりと。
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