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「…でも、やっぱり一番は彗ちゃんかな。だって、僕の伴侶は彗ちゃんだけだもん。それに、攻略対象は友情エンドで十分だけど、彗ちゃんは恋愛エンドじゃなきゃヤなんだ。…彗ちゃんが大好きだから…この世の誰よりも、素敵な君がね。」
護りたい、その笑顔。
天使が降臨したんじゃなくて、最早翠自体が天使だ。
創りたもうた神と生み育てた親御さんに心からの感謝を。
…いかんいかん、これじゃ、惚気じゃないか。つか、俺キモいな、おい。
いや、確かにそれはそれはもう凄いデレで、可愛かったし、とんだ爆弾を落としてくれたもんだと、必死こいて理性働かせてたけどよ。…色々あって、アイツは子を作る事への抵抗感が強くてな、ヤらない事を条件に付き合う事になったんだ。…婚約の条件にも、それは含まれていてな。
結局死ぬまで、俺もアイツも未経験。
今世も何だかんだ言って、忙しい上にアイツ以上の奴なんて居ないからな。
今世は独身を貫こうと思ってる。
養子になった家で、俺は三男。領地経営や後継ぎといった面倒がない代わりに、家を出なければならないとはいえ、かなりの自由が許されている。
…何故か、養子になって以来、親兄弟に溺愛されているが。そのせいで、『ウィルは嫁にやらん!』とかトチ狂った事を言い出したりしてる。全く、この親馬鹿&ブラコンめ。
俺はそんな愛情求めてないぞ?
世話にはなっているが、愛をくれとは一言も言っていない。
そんな図々しい事言えるわけが無いだろ。
そもそも俺に愛は不要だ。
…前世でアイツに色んなモノを貰ったから。
もう返す事の叶わないモノ達を、心の奥底に大事に大事に仕舞って、今世を生きているんだ。
…何処にも捨てられない、捨てたくない想いと思い出を抱いて、女々しく、ひっそりと。
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