第1話 贈物

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ーー数年後。 俺は10歳になっていた。 空の青と雲の白のコントラストに、穏やかな風と揺らめく草花。 白き暮石には、己が両親の名が刻まれている。 銀製の円筒形状の容器には、白きサンセルクの花。 見た目は白色の菊そのもの。 この国の墓参りの定番となっている花で、前世の日本でいう盆の時期によく売れる。 とまあ、描写してみた所で、結局のところ、実の両親の墓参りに来ただけなんだが… 此処に来るのは、二度目だ。 一度目は、お父様に連れられて。 今回は、一人…というのは御幣があるか。 正確に言うと、護衛4人と専属執事1人の計5人で来ている。 まあ、護衛2人は馬車の見張り、残り2人が俺の警護、専属執事が俺の斜め後ろに控えているって感じだから、仰々しさは無いだろう。
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