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刻まれた文字をそっとなぞると、それは僅かに熱を持っていた。
その暖かさが、ひどく優しくて…
親の愛とはこんなものなのかな、なんて思ってみたり…
中に入っていたのは、1組の男女の写真。
男の方は、錫色の髪に、左眼は杏の花を思わせる蘇芳香の瞳孔・薄桜の目、右眼は梅紫の瞳孔・紫苑色の目。
スラリとした長い手足、細身で色白。
表情筋が年中死んでいそうな感じでなければ、大層おモテになったであろう顔立ち。
一言でいうなら、超絶美男。
女の方は、白橡の髪に、白緑の瞳孔、マラカイトのような緑青のツリ目。
スラッとした長い手足、スタイルは程よい・キュ・程よいといった感じ。
陶磁器のような滑らかできめ細やかな肌、桜色の唇。
黙っていると冷たくて怖そうな人に見えるが、笑うと大変可愛らしい。
学園のマドンナなんてアダ名があってもおかしくない超絶美女。
そんな2人がフォーマルな格好で、柔らかな笑みを浮かべている。
…確かにこれは、俺の実の両親だな。
お袋なんて、俺にそっくりだ。
…いや、この場合は俺がお袋にそっくりなのか。
なんか…俺と並んだら、親子というより、姉妹に見えそうだな。
悲しきかな…貧弱な身体付きは、しっかり受け継がれているみたいだから。
親父は…おま誰状態だな。
穏やかで優しい良い人とか、ヘタレとか言われそうだし、何より…良き父親になりそうだ。
色々あって狂ってしまった、という事なのかもしれないが…すごいギャップだな。
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