第3話 入学

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入学式は講堂にて行われる。で、今俺はその講堂前にいる。 周りの奴らの話を聞く限り、昨日が始業式だったらしいが… 式後に入学式用に会場内をセットし直したり、式の流れをおさらいしたりしたのだろうか? 前世でも確かそんな感じだった筈だし。 だからといってはアレだが、この講堂内に居るのは、新入生と一部の在校生(生徒会や各委員会など)、新入生担当の教員、教頭、校長、理事長、国王陛下、保護者ぐらいのものじゃないかな。 残りの在校生は、通常通り授業を受けているらしいし。 それに新入生は入場の為、会場の外で2列縦隊に並ばされている。まあ…人数が人数なだけに、横を見れば何十セットも2列縦隊が出来ている。 集団も人も嫌いな自分には最悪の状況だ。 …が、このザワつきの中ではこっそり歌っていてもバレないからな。暇つぶしと気をそらす為に、小さな声で、前世で好きだった曲を歌ってる。 そのおかげか、何とかこの場に居れている。 ちなみに、講堂は豪華絢爛過ぎない、洗練された厳かな外観と内装で、尚且つ機能性もある。 ファンタジックな見た目の割に、なかなか快適に過ごせそうだ。これなら入学式も乗り越えられるかもしれない。 社交界には、数年前に既にデビューしているものの、前世以来の集団や人間に対する嫌悪・苦手意識は全くと言っていいほど治らない。 …翠が居たなら、少しは変わっていたかもしれないが。…ああ、いや。これは…無い物ねだりにも程があるな。はあ…せめて1人ぐらい知り合いが居たならまだマシだったかもしれないが… どうにも同世代、年下には好かれないみたいでな。 社交界デビュー後もあまり交友関係が広がらなかったんだ。これでも努力はしたんだが…みんな俺の地雷を踏んでしまうか、俺の話がつまらないかで大体の奴らが離れていく。 地雷を踏まれると、どうにも…その時の記憶が飛んでしまっている為、俺にも詳細は分からないんだが… 皆口を揃えて、前世の奴らと同じ反応をするんだ。 んー、俺はそんなに怖くてヤバい奴なんだろうか? 自覚がないから判断のしようが無いな…
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