第2.5話 会議

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 「…今の後見人は口約束とはいえ、スノッドル伯なら、その次男の名前ではなくスノッドル伯の名前で発表すればさして問題は無いのではないか?いくら責任能力があるといえど、国民からすれば、不正を調べ上げ、それを告発したなんぞ、信憑性に欠ける話だろうよ。どのみち、ミラドゥゲル伯爵家は国家反逆罪適用により一家全員処刑。その功労者も養子縁組で家を離れており、法的には処刑せずに済む。例え、事実が明らかになろうとも、功労者が処刑されていなかったのならば、国民感情も悪くならないだろう。まあ、陛下や幹部の任命責任が問われるかもしれんが…のらりくらりと躱し誤魔化せば、どうとでもなるだろう。」  法務大臣が真っ先に口を開き、そう述べた。流石、法の専門家たる部署の長と言ったところか、パッと意見を出して来た。  …躱すのは政治家の常套手段であり、今件から変に問題が発展すると、国家の存続に関わってくる為、国の為を思うなら、躱す事自体は決して悪い事でもないのだ。  「…確かにそれならば、問題無いだろう。」 「そうだなぁ、まあ、次男が目立ちたがり屋で功績が欲しいって言い出さない限り、その案でいけると思いますよ。」  「問題無いと思う。」  「ついでに養子縁組の書類も目を通したが、不備無しの為、直ぐにでも受理してしまおうと思うのだが…法務大臣、どうだろうか。」  「その部署の最高責任者が問題無いと判断したならば大丈夫だが…一応、此処にいる皆で確認してくれ。此処にいる複数人が見たならば、正確さに箔がつく。」  それに各々で返事をし、少しして目を通し終わった者から書類から顔を上げ、其々大丈夫だと答えた。  「よし、これで正式受理完了だ。明日にでも、スノッドル伯を呼んで、受理完了と伝えよう。」  「ならば、その時にでも、法務大臣の案の了解を得よう。ワシは法務大臣の案に賛成だが…皆はどうだろうか?宰相、採決を頼む。」  国王の要請により、始められた採決で法務大臣の案が全会一致で可決され、明日スノッドル伯には事後承諾させる事になった。  事後承諾の際には、事前に次男に功績を欲するか否かを聞き出し、それを報告するよう連絡を入れておく事も決められた。  そして、その後の会議は予定通りに進められ、約3時間後に解散した。
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