第3話 家族

2/12
337人が本棚に入れています
本棚に追加
/238ページ
 翌朝。  晩飯も食べずにすやすやと眠っていた俺は、空腹に耐えかね、いつもよりずっと早い時間に起床した。  窓の外を見るとまだ夜明け前だった為、他の奴を起こさないよう、なるべく静かに動いた。  …まさか、朝から叫ぶ羽目になるとは思わなかったが。  咄嗟に、この部屋に防音魔法を掛けたから、間違っても誰かを叩き起こすような事にはなっていないとは思うぞ?  いや、精神年齢的に大人な奴がする事じゃねぇな、あれは。  え?何があったのかって?  …凄く上等なシャツ(サイズ的に伯爵様のもの)を握りしめたんだよ。  昨日寝落ちしたからな…多分その時にでもやらかしたんだろうよ。  あー、起きたくねぇな…これ絶対あとでからかわれる奴じゃねぇか。  ……そうこうしてるうちに、屋敷内が賑やかになってきたな。  大方、使用人たちが仕事を始め出したんだろう。  他の家人が起きたかどうかは分からんが、普通使用人は家人より早く起きて仕事をするものだからな。  …はあ。諦めて着替えるか。  えっと、クローゼットは……  いや、それにしてもこの部屋、調度品とかその他諸々、全部高級品ばかりだな。  修理代がエラい事になりそうだし、細心の注意を払って行動しよう。
/238ページ

最初のコメントを投稿しよう!