第3話 家族

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 クローゼットの中の服も、俺のサイズが分からなかったのか既製品ばかりだが(十中八九、養子の件が余りにも急すぎて用意出来なかったんだろう。)、それでも超有名店の高級品だし。  此処に俺が居る事が余りにも場違い過ぎて、苦笑いが溢れた。  ん~、これとこれと…ま、こんなもんかな。 よし、さっさと着よう。  …よし、着替え終わったぞ。  いやぁ、しかし…馬子にも衣装とはよく言ったものだな。  自分なりにコーディネートしてみると ・白シャツ ・黒の紐タイ(とりあえず、それっぽくリボン結びにした) ・黒のベスト、黒のショートパンツ(どちらもグレーの格子柄入、セット商品か?) ・黒のハイソックス ・焦茶色のローファー って感じの格好になった。  貴族の御嬢様なら、ドレスや靴、アクセサリーでいくらでも華やかに、可愛らしく着飾れたんだろうが…  生憎と俺は男なんでな。  派手好きでも無いし、前世でもシンプルでカジュアルなものを好んで着ていたからな。  今回の服装もシンプルイズベストな感じになっている。  しかし、流石高級品。  こんな平凡男にも、紳士らしいスマートな雰囲気を纏わせてくれている。  なかなか様になっているんじゃないか、これは。 使用人、それも見習いのお古しか着させてもらった事がないからな。  こんな綺麗な服を着たのは、今世では初だ。  汚さないようにしないとな。  これでも、あの家では食事以外の家事は、全部自力でやらされてたんだよ。  だから、掃除や洗濯の大変さは身に染みてるし、その苦労はよく分かるんだ。  これから此処でお世話になる身として、出来るだけ迷惑を掛けたくないからな。  これぐらい気を回しても、問題ないだろ?
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