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…まあ、朝食の話はそこまでにしておいて。
執務室に向かう道中、此処まで一度もお父様は口を開いていない。
…何処か緊張しているようだから、余程切り出しづらい話なのかもな。
「此処が私の執務室だよ。…さあ、入って入って。」
「失礼します。」
「そこのソファでも座っておいて。今、飲み物を淹れるから。紅茶でよかったかな?一応、コーヒーもあるけど…」
「すいませんが、コーヒーをお願いします。砂糖やミルクは無しで大丈夫です。」
「了解したよ。」
俺が淹れますと言いたい所だが、勝手が分かっていないからな。下手に動いてカップを割るなんて事になったら嫌だし。弁償代を考えると、大人しくしてるのが最善の選択だと言えるだろうよ。
だから、動きたいのを我慢して、こうしてソファに座って待機している訳で…決して俺が傲慢で恥知らずだからじゃないからな。
今でさえ、申し訳なさでいっぱいなんだ。
俺には、元日本人としての性分が根強く残っているからな…尚更そう思うのさ。
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