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「……よし、淹れ終わったよ。御茶請けのお菓子がクッキーしかなかったから、これで勘弁してもらえるかな?」
「はい。…態々すいません。勝手が分かるようになりましたら、俺が淹れますので…」
「そう気にしないで。久しぶりに自分で淹れてみたかったんだよ。でも、君の淹れてくれたものも飲んでみたいから、その時はよろしくね。それと、コーヒーはインスタントしか置いていないから…上等なものとはいえ、豆を挽いて作ったコーヒーには負けちゃうけど…どうかな?」
「いえ、大変美味しゅうございます。言われなければ、インスタントと気づかなかったぐらいには。きっとお父様の淹れ方がお上手なんでしょうね。」
「ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ。私はコーヒーがあまり得意ではないから、普段は紅茶ばかりなのだけど…
それでも美味しく淹れられていたなら、何よりだよ。」
マジか、いやこれ店出せそうなぐらい美味いからな?
勿論、この世界にインスタントコーヒーがあった事にも驚いたが。
何だ、美形は何でも出来るのか。
スペック高過ぎて、妬み通り越して、最早感心しかせんぞ…
「さて、そろそろ話に入って行こうと思うのだけど…これは君の出自に関わってくる大事な話だから、最後までしっかりと聞いてくれると有難いな。」
俺の出自、だと?
態々話す程の事があるのか?
心当たりがまるで無いんだが…
まあ…とりあえず、話を聞いてみるか。
「…詳しく話していただけませんか?」
「勿論だよ。…少し長い話になるけど、大丈夫かな?」
「はい、問題ありません。よろしくお願いします。」
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