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「此方こそ、よろしくね。
…さて、今から話すのは君の実父、ザークロス・レノス・ミラドゥゲルの人生。途中から君に直接的に関係してくるから、注意して聞いてくれ。
彼はミラドゥゲル伯爵家に次男として生を受けた…それも母親の命と引き換えに。
上の兄は5歳年上で、剣や魔法、勉学…まあ、他にも色々あるけれど、兎に角どの分野においても大変優秀な人物だった。
それこそ、社交界でも一目置かれるぐらいにはね。
次男の彼もなかなか優秀だったんだが…兄の前ではそれも霞む。
それに彼には物心つく前から、長男のスペアとしての教育が行われてきた。
父の都合のいい道具としての…決して人間扱いされる事のない、一種の洗脳教育…それも大分行き過ぎたものを。
そんな教育は学園に入学するまで続いた。
入学後、彼への洗脳は少しずつ、本当に少しずつだけど薄れていったんだ。
彼にとって平穏な日々が一転したのは、彼が高等部2年の時だった。
当主の父と次期当主の兄を乗せた馬車が、土砂崩れに巻き込まれ、父、兄、御者、秘書、護衛4名…その場にいた者は全て亡くなり、発見された遺体は魔物か獣にでも荒らされたのか、無惨なものだったそうだ。
両名の死亡の知らせを聞き、関係各所に然るべき対処をし、1週間後には、伯爵家当主として父の跡を継いだんだ。
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