第4話 事実①

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第一子は悪女との子で、性別は男。跡取りである長男を生んだことで、妻としての役目も果たしただろ、とでも言いたげに、その頃から男遊びも大変激しいものになってしまった。 第二子は待ちに待った、第2夫人との子で、性別は男。言い方はアレだけど…此方も長男のスペアとなる次男を生んだことで、妻としての役目を果たした為、家内での地位は維持される…筈だった。 …その第二子が第2夫人の命と引き換えに生まれた子でなければ。 更に同時期に生まれた悪女との子が死産しなければ。 悪女がその事実を受け入れられず、第2夫人の子を自分の子としなければ、その子を殺すと彼と立会人である乳母や医師、神官、使用人らを脅さなければ。 第2夫人がこの世を去った事で、心の支えが無くなった彼が自暴自棄になり、何とか残っていた理性がその子を守ろうと、それを了承しなければ。 その子が彼の家の派閥でいう『才無し』で…放任する事でしか、悪女から守る事も出来ないという状況でなければ。 その後に悪女が生んだ女児と男児、そして第一子が何れも皆愚かな子に育たなければ。 …全ては違っていたのかもしれない。 少なくとも、君が…ウィルが苦しむ事も無かったはずだから。 彼が周囲に助けを求められたなら、少なくとも近隣の領地の領主である私や、彼の同級生で彼と親しかった者達は多少なりとも力になれた筈なんだ。 彼は()()()()()()()殆ど何も選ばなかった。状況に流されて決めた事の方が多い。 彼のせいだけでは無いのかもしれないけど、結果的に彼は国家反逆罪で処刑される事になった。
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