第4話 事実①

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それと…役所には、君が予想した通り、母親の欄はあの悪女の名で出されているよ。 この類の書類に関しては、かなり上の者…つまり御偉いさん方に直談判でもしないと変更が難しいんだ。 今回の場合、割と特殊な事案だし、君に非は無いし、悪女が関係してるとなると、むしろ憐れまれ容易に同情を買う事ができるね。 …まあ、それぐらいなら処刑の手配やらでバタバタしているだろうから、そのドサクサに紛れて、こっそり変えてもバレないだろうし、上もそれぐらいならササっとやってくれるはず、むしろそれぐらいの願いで良いなら、上も安心だろうよ。 変に野心を持つと、それこそドサクサに紛れて消されかねないからね。 …まあ、私はあくまでもスノッドル伯爵家当主だから、確信を持っていう事は大変難しいのだけれど… 理由が理由、事情が事情の為に、さっき言っていた理由の部分を真綿でオブラートに包んで、箱に詰めて、適度にラッピングすれば、かなりスムーズに事が進むんじゃないかな? そういう事なら、私の許可なんて幾らでも出すし、私は一応一目置いていただいているから、私の口添えがあるなら、もっとスピーディになるかもね。 全ては可能性の話だから、話を通してみないと分からないけど、君の養父としてお父さんも一肌脱ぐよ。 だから、まあ、今は此処での生活を楽しんでいておくれ。 我らがお姫様を甘やかしつつ、きちんと教育するのが、私達家族や使用人達の仕事だからね。 (とりあえず、上から聞かれていたウィルへの褒美の件は、これの了承で話をつけるか。この程度なら、彼の欲の無さも示せるしな。何より、可愛い息子のお願いだ。頑張りたくもなるさ。) ……お父さんの長い長いお話を、最後までしっかりと聞いてくれてありがとう、可愛い可愛いウィル君。」
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