第5話 事実②

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「入れ。」 「失礼します。」 「…さて、まずは彼を紹介しよう。彼の名前は、セバスチャン・レノス・ノーグリッシュ。ノーグリッシュ子爵家次男だよ。 ノーグリッシュ子爵家は、代々うちに仕えてくれていてね、うちの専属執事は皆んな彼の家の者が務めているんだ。 ウィルにも、その内専属執事を付けるよ。 それに、うちの執事長兼私の専属執事である彼とは、これから先接する機会も増えてくるだろうから、紹介させてもらったよ。」 「只今、御紹介に預かりました。どうぞ気軽にセバスとお呼びくださいませ。ウィル坊っちゃまの専属執事につきましては、また何れお話させていただきます。何か御用がございましたら、私を始めとする使用人達に何なりとお申し付け下さい。これから、よろしくお願い致します。」 ロマンスグレーの髪はオールバックにされ、老緑(おいみどり)の瞳孔に裏葉柳(うらはやなぎ)の目には優しさが宿っている。 顔付きからして、かなりお年を召していそうな感じだが、老眼鏡や杖の類は一切なく、ピシッと伸びた背中は老いを感じさせない。 名前も王道のセバスチャンときた。 正に執事の中の執事と言った感じの御仁だ。
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