第5話 事実②

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【長男:トールド・レノス・ミラドゥゲル】 父親に剣を乞い、母親からの愛が一切ない寂しさを剣に打ち込む事で埋めていた。 脳筋だったのは、剣に打ち込み過ぎたせいで身体が疲労し、勉強の時間に身が入らず、しょっちゅう船を漕いでいたから。 魔法の才は一応あったものの、そこまで凄いものではなく、身体強化魔法が大得意な、脳筋にはうってつけの魔法ぐらいしかマトモに使えなかった。 一応、適性属性に幻惑属性があった為、次期当主としての資格は持っていたが、軽いフェイントぐらいにしか役立たなかった。 父親はそもそも悪女との子にどう接したら良いか分からなかった上に、悪女の金遣いの荒さに金策に走らねばならなくなり、子供にあまり構ってやれなかった。 第2夫人がその分相手をしていたものの、悪女が彼女に敵意を向けていた為、それで第2夫人が悪者だと雛鳥の刷り込みのように思い込み、第2夫人に対する当たりはかなりキツいものだった。 ちなみに、悪女が第2夫人に当たりがキツかったのは、当主からの寵愛を一身に受けている事への嫉妬心と、悪女と思われる為の演技故。 その副作用で長男まで第2夫人を目の敵にするとは思っていなかったようだが。 父親は長男に剣才がない事も見抜いていたが、剣に固執し、剣を通して自らを慕ってくる姿に、ズバリと言いづらく、第2夫人からもその点を指摘されていたが為に、より意固地になって、結局剣術馬鹿な脳筋息子に育ってしまった。 父親自体、人格が決まる3歳以前から、強く洗脳されていたが為に、人に強くものを言えない性格に固定されてしまっていて、悪女の浪費家で遊び人な所も、長男の剣才の無さも面と向かってはっきりと言う事が出来なかった。
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