13人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんだよ。今時白って……」
突然声が聞こえて慌てて振り返る。
そこには派手な着物を着崩した、軽薄そうな若い男が横になって、私の制服のスカートをめくり中を覗いていた。
「あぁ、あっ、あなたは何なんですか?!」
”何”と言うのも変だが、それ以外に言葉が見つからなかった。
空中に浮いたまま、横になれる人間など、存在しないのだから。
スカートの中を覗かれるよりも、びっくりしたのだ。
「何なんですかって、俺は死神様の使いだよ」
男はあっけらかんと、当然のことと言わんばかりに答える。
「お迎えに来てくださったんですね」
――やっぱり人間じゃなかった。死神の使いが迎えに来てくれた?
ならば、やっとこの世界とサヨナラできるのね。
「は?お前、何言ってんの?お前の天寿はまだ先だ」
「え?私はここで飛び降りようと……だから迎えに来たんじゃないの?」
「ばーか。ホントめんどくせーな。お前みたいなのが、最近やたらと多いから俺らの仕事が増えるんだよ」
男は呆れたように不貞腐れたように言った。
「だって、死神の使いって……。魂を取りに来たんでしょ?」
「ホントめんどくせーな。そっからかよ」
最初のコメントを投稿しよう!