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「いろは。お前くらいの年頃のやつは、結構そうやって一人きりだと孤独感にさいなまれる奴いるぞ」
「うん。分かってる」
「なんだろ……
ずっと、家でも学校でも、それなりに”良い子”でいるのが、疲れちゃったのかな?――
時々、ワーッ!って突然叫びたくなる」
「親も友達も、ちゃんと私を見てくれてないんだなって、気がついたとき、すごく寂しくなって――
私って何だろ?ただ良い子を演じてればいいのかな?って――
虚しくなって震えが止まらなくなった。
寒かった」
――専業主婦の母は、家の中とご近所の小さなコミュニティの中で生きている。
私が小さい頃は、本当に優しくて大好きだった。
成長するにしたがい、自分の手を離れていく娘を見て、自分の存在意義が分からなくなっていき。
いつしか、娘である私が褒められることが、自分が認められていることと同義になり、そこに自分の価値を見いだしていたのも知っている。
父も家族のために仕事を頑張っていたが、いつしか忙しさから、母の愚痴を聞かされるのが億劫になり、だんだんと家に居る時間が減っていった。
元々は私や家族のためだったことは、分かっている。
けど、どんどんと心が離れていく家族がいたたまれなくなってしまった。
そんな話を延々とシズヤに話し続けた。
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