6/7
前へ
/8ページ
次へ
「いろは。お前くらいの年頃のやつは、結構そうやって一人きりだと孤独感にさいなまれる奴いるぞ」 「うん。分かってる」 「なんだろ…… ずっと、家でも学校でも、それなりに”良い子”でいるのが、疲れちゃったのかな?―― 時々、ワーッ!って突然叫びたくなる」 「親も友達も、ちゃんと私を見てくれてないんだなって、気がついたとき、すごく寂しくなって―― 私って何だろ?ただ良い子を演じてればいいのかな?って―― 虚しくなって震えが止まらなくなった。 寒かった」 ――専業主婦の母は、家の中とご近所の小さなコミュニティの中で生きている。 私が小さい頃は、本当に優しくて大好きだった。 成長するにしたがい、自分の手を離れていく娘を見て、自分の存在意義が分からなくなっていき。 いつしか、娘である私が褒められることが、自分が認められていることと同義になり、そこに自分の価値を見いだしていたのも知っている。 父も家族のために仕事を頑張っていたが、いつしか忙しさから、母の愚痴を聞かされるのが億劫になり、だんだんと家に居る時間が減っていった。 元々は私や家族のためだったことは、分かっている。 けど、どんどんと心が離れていく家族がいたたまれなくなってしまった。 そんな話を延々とシズヤに話し続けた。     
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加