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過去とこれから
2016年8月1日
午前七時半。セットしておいたスマートフォンのアラームが静かな部屋の中にこだまする。「んっ?う~ん。」松井善紀はゆっくりと目を覚ました。窓から差し込む陽の光が明るい一日の始まりを知らせようとする。彼は起きあがり、枕元のスマートフォンに手を伸ばした。頼りにしてるよ。アラームの電源を切りながらつぶやく。それから再び横になる。仰向けのまま天井を見つめていると、いろんなことが頭の中に浮かび上がってくる。
俺には夢がある。叶えたい夢があるんや。就活で掴みきれなかったものを掴み取ってやる!
電車の運転士になる。それが俺の夢だった。絶たれてしまった望みをもう一度復活させ、現実のものとしてみせる。大学卒業を間近に控えた俺は真剣にそのことを考えていた。「いきなり専門学校だって言われてもなぁ。ていうか、就活はどうなったんや?まさか、内定が決まらないからっていう理由で専門へ逃げようとかっていうんじゃあらへんよな?」顔を厳しくする親。俺はうなだれる。
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