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だからといって、後悔したところで何も始まらない。俺にはまだできることがある。絶たれてしまった望みを復活させ、現実のものとしてみせる。そのために、もう一度だけ挽回できるチャンスが欲しい。
俺には夢がある。叶えたい夢があるんや。就活で掴みきれなかったものを掴み取ってやる。
大学を卒業後、俺は県外にある専門学校へと進学した。自身にとって最後の砦となるこの場所で、誰よりも人一倍に努力を重ねてきた。常に熱い目標を掲げ、それに向かって全力でぶつかっていくという信念に揺らぎなどなかったといっていい。その努力に水を差そうというものがあるとは。持病のせいだった。
お客様の命を最優先に、快適かつ安全な輸送が目的の仕事であるが故に持病持ちの俺にとっさの対応を任せるのは難しい。二者面談の際、担任から告げられた真実だ。
俺は目の前が真っ暗になった。まさか、こんなことがあっていいのか。今までの頑張りはどうなる?憧れの鉄道業界に就職するためにこの学校へ来たのに。結果が全ての試験なんかとは違う。不可抗力な病気なのだ。自分ではどうすることもできない。
好きだけでは務まらへんで善紀。
俺は泣いた。生きてきてこれほど屈辱的なことはなかった。輝かしい夢のために全精力を注いできた俺がどうして...。初めて味わった挫折だった。理想と現実との深いギャップに苦しめられもした。
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