16人が本棚に入れています
本棚に追加
あまり話したことなかったけど、こいつはこんな性格だったのだろうか。女子周りでは陰キャ扱いだったのに。
「…わたし、話すことないんだけど。」
「そう?まぁとりあえず糖分とりなよ、元気でるよ?」
そういって、そいつはカバンの中から飴やらチョコレートやら、お菓子を机の上に出してきた。結構な量があった。というか、そんなにたくさん学校にお菓子を持ってくるなよ。
私は飴をひとつもらい、口に放り込む。
りんごの味らしいが、あまり味はしなかった。
そいつはわたしが飴を食べただけで満足そうな顔をしていた。やっぱりわけがわからない。
「わたし、そんなに元気ないように見えた?」
「いんや?そんなには。ただ、声かけないとずっとそこにいそうだったし、ちょっと気になったから。」
「ふぅん、私に気があるとか?」
「いや、全然。」
冗談のつもりで言ったのに、即答されたのが微妙に腹がたった。
「悩んでるときって、友達とか、親とかに話すより、どうでもいいやつに話すほうが気が楽じゃない?俺もそういう経験あるから、ほら、話してみ?」
そいつは私をまっすぐ見ながら言ってきた。わたしは少し目を伏せた。なんだか不思議なやつだなぁとおもいながら、私はいつの間にか、今日の出来事を話してもいいかなと考えていた。
「…悩みじゃないけど、聞く?」
「おぅおぅ、話せ話せ!」
私は告白したこと、フラれたこと、そしてそのことに何も感じなかったことを話した。そいつは適当に相づちをうちながら、口をはさまず聞いていた。そして、聞き終わると、
「糖分、処方しときますね。」
と、机の上のチョコレートを差し出してきた。
「あんた、それ言いたいだけでしょ?」
「いやいや、とりあえず話し終えてお疲れ様ってことで、チョコでも食べなよ。」
「いや、まだ飴食べてるからいい。」
「そう?じゃあチョコは置いといて。で、感想なんだけど、あるあるって思った。」
「そうなの?そういうものなの?」
思いもよらない返事に、私は食い付き気味になってしまった。
「あれでしょ、カルボナーラ食べに洋食屋に行って、いざカルボナーラ食べようとしたら、これじゃないなぁ、ってなるみたいな?そんな感じの心境でしょ?」
わかるようなわからないような例えをされて、私の頭は混乱した。
最初のコメントを投稿しよう!