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「なんでカルボナーラなの?」
「今俺がカルボナーラを食べたいから。まぁカルボナーラじゃなくてもいいんだけど、よくあることだと俺は思うよ。」
「よくあることなのかなぁ…わたしにはわかんないや。今まで好きだと思ってたのに、伝えてみると、自分でも不思議なくらい好きがしっくりこなくて、わたしっていい加減なやつだったのかなぁって、そんな風に思ってた。」
「いい加減ではないんじゃない?ただ、それが恋かどうかは別として。」
「?どういうこと?」
「多分、想いがあっても、それが恋じゃなかったんだろ。」
「好きになることを恋と呼ぶんじゃないの?それとも、likeかloveの違いってこと?」
「うーん、なんていえばいいのかな…」
そいつはしばらく考え込んでいた。想いがあっても恋じゃない、そう言われて、私はあの告白がなぜしっくりこなかったのか、なんとなくわかった気がした。だけど、言葉でどう表現していいのかわからなかった。
「いい表現がみつからないけど、誰かと食べる飯は、一人で食べるよりうまいだろ?でも家族と食べる飯はうまいけど、それ以外にも、暖かさがあると思わない?こう、言葉にできない安心感というか。」
「…なんとなくわかる気がする。」
「多分、誰かに寄り添いたかった、暖かさが欲しかったんだと思うよ。ただ、それだけだった。だけど、それを恋と呼ぼうとしたから、違和感があったんじゃないかな?」
そう言われて、わたしはハッとした。今までのもやもやが晴れたような気がした。
「…なんか、あんたの言葉で、色々気付いたかも。わたしは別に彼に恋してたんじゃなくて、彼の優しさにぬくもりを求めてただけで、ぬくもりというか、安心できる場所があれば、彼じゃなくてもよかったんだ。」
言って、わたしは私の言葉に納得していた。わたしはただ寂しかっただけなんだと気付いた。
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