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職場の交番にいても、昼間から変な酔っ払いが自分の頭に通信されてくる意味不明な叫び声の話を、毎日3時間は警官である笹塚に報告しにやって来るし、たまにイライラして怒鳴りつけると、必ず妙な奇声を発して、まるでラジオ体操でもしているような暴れ方をし、交番の壁を蹴ったりするのでそう怒鳴るわけにもいかなかった。 この酔っ払いは、前に暴れた時に実は公務執行妨害で一度逮捕したことがあるのだが、しかし仮釈放されてからまたこの交番へやって来ては、頭に通信されてくる叫び声の意味不明な話の報告を毎日長々として帰っていくので、まあただ話してるだけの相手を逮捕も出来ず、笹塚としても黙って容認せざるを得なかったのだが、しかし酔っ払いの話があまりにわけがわからんほど意味不明なので、笹塚はもう頭がおかしくなりそうになっていたのであった。 今日も後輩の清美巡査と先輩の長淵巡査が近所の野球スタジアムで起きた、キャッチャーがランナーを刺し殺した事件のために出動しており、仕方なく笹塚がこの酔っ払いのメッセージの報告の話を、一人で聞くしかなかったのだった。 笹塚茂男は穏やかな男だったが、転職組だった。 前は株式会社・殺人集団ザップの社員だった。 最初ザップはただ人を殺したい人間だけが集まっているただのサークルだった。     
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