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しかし、とあるヤクザ組織がザップのことを知り、抗争の鉄砲玉に彼等を使ったり、警察が極秘に、法で裁けぬ悪人を殺してくれと依頼してきたり、大企業が、抹殺したい人物を殺してくれと依頼してきたりするうちに、派遣型の企業となり、しまいには女子高生が三角関係の果てに恋仇を殺してくれとか、OLがセクハラ上司を殺してくれとか、息子を殺された家族が、少年法に守られて短い刑期でシャバに出てきて反省の色すらない少年たちを殺してくれとかいった、一般人からの小口の依頼も受けていたので、かなり大きな企業に成長していた。
しかし殺し屋集団とは違うのは、正社員は数人いるだけで、契約で雇われている派遣社員は本当に殺人衝動が抑えられないサイコな連中や興味本位で人を殺したいという人間ばかりで、彼らは必ず逮捕されているか、鉄砲玉として死んだりしている点だった。
彼らは人を殺すためならば命すら惜しくない連中ばかりで、ヤクザ組織の三下だって、人を殺すのも自分が死ぬのも本当は怖い者が多い中で、この派遣社員達は鉄砲玉としてはまさに捨て身の狂犬ばかりということになり、ヤクザ社会では”カミカゼ”と呼ばれて大変重宝されていた。
ザップの存在は、世間は愚か、マスコミさえも知らない闇の組織だったが、しかし世の中の暗殺事件やヤクザの抗争、理由のわからない衝動殺人として報道された事件のいくつかは、ザップが請負い、なんでもいいから人を殺したい連中をどんどん派遣し、また興味本位で人を殺したい人間に、殺人の機会を作ることで起きている事件だった。
笹塚は、ザップ創立メンバーの一人だったが、いつも現場に出たくてウズウズしており、警視庁から依頼の、とある証拠がなくて逮捕出来ない連続殺人犯の抹殺の仕事に、自分から出向いていった。
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