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―その後、理事長室―
二人は悩みに悩んだ結果、何でも知ってそうという推測だけで理事長室に来た。
理事長室はその名の通り、理事長の部屋で校長室より入りづらい部屋だが、一応特別な許可がいる部屋ではない。
「おや、修剣士…それも新入生が二人も揃ってわしに何の用じゃ?」
帽子を被った背の低い女性…というか自分達とそう年が離れてなさそうな人物は不思議そうにこう言った。
「実はオレ達、次の試験の対策にって、自分達の中にあるものについて考えてたんですけど…」
「僕らだけではろくな結論がでなくて…」
「それでわしの所に来たと言うわけか。まぁ、この時期はそのように悩める修剣士は多数おるわ。まずはお主らよ、名乗り出てみろ。」
「修剣士馬宙と」「修剣士陽輝です!」
「馬宙と陽輝か。うむ、状況は理解した。話を進めよう。」
「それで、どうすればオレらにも属性解放が使えるんですか?」
「…先輩剣士から話を聞いたんじゃないのか?」
「聞いたは聞いたんだけど…僕らの頭で理解するにはちょっと…」
「まったく、お前達は入学から見ておったが、酷いにも程があるわ。ついてこい、考えたくないんじゃろ?」理事長はあきれ果てた顔をしながら、二人を見たこともない巨大な魔法陣の上に立たせた。「学園にこんなものがあったなんて…」
「喋らずに口を閉じろ。そして目を閉じて深呼吸をするのじゃ。わしがいいと言うまでは続けよ。」
「「はい!」」
馬宙と陽輝はそれぞれ言われたようにした。
「GMコマンド、ハートフル・オープナー。」
理事長がこう唱えると、魔法陣が七色の光を発した。馬宙達は自分達が呼吸する度に少しずつ何かが沸いてくるような感覚を覚えた。
「目を開けよ、お前達それぞれに見合う力を引き出した。使いこなせるかはお主ら次第じゃ。」
「オレ達に見合う力…」
「ありがとうございます、理事長。」
二人は理事長室を後にした。
~予告~
この学院の卒業条件…大修剣祭で上位10名に名を連ねること。それは、現主席との一戦も避けられないことを意味する。
次回〈大修剣祭〉
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