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―コロシアム―
『それでは、ただいまより一年生部第一試合・“四属剣”翔剣士vs馬宙剣士!』
観覧席は試合開始前から既に凄まじい熱気に包まれていた。
「君が馬宙くんかい。僕はね、“四属剣”の称号を授かった身として、そして、三級貴族を親に持つ身としても君に引けを取ったり負けたりはしたくはない!」
「こっちだって、勝ちたい人がいる。学院を出てからやりたいことだってあるかもしれないんだ!貴族相手でもオレは負けない!」
『それでは両剣士よ、剣を取り、存分に腕を振るわれよ!』
二人は剣を腰から引き抜き、それぞれ独特な構えをした。
(!?…馬宙くん、どういうつもりだい?正面ががら空きじゃないか。フフ、口だけだったか。ならばこちらから仕掛けさせてもらう。)
「スキルコマンド・ボディポジション・ソニック!」
翔はオーラに包まれ、馬宙に一気に迫って剣を振り下ろした。すると、馬宙はそれを真っ向から受け止めた。
「ぐっ…さすが、貴族の剣技は重いなぁ。」
「そうだろう、平民の君にはそうとしか言えないだろう!」
「さっきオレが言った言葉を忘れたか!」
グググ…
「なっ、まさか…それが狙いか!?」
「スキルコマンド!マイアームズポジション・スティール!」
馬宙の剣が白い光を発して金属化した。そして馬宙はそれを振り上げた。
バチンという音と共に両者は後ずさりをした。
「平民ながらすごい手を打つじゃないか、馬宙くん。僕はうれしいよ!」
「そうかい!もっといいもの、見せてやるぜ!スキルコマンド…マイアームズポジション・メタルウィップ!」
馬宙の剣は彼の術式を受けると白銀の鉄鞭に変化した。
「せやぁぁぁぁっ!」
馬宙の鉄鞭はビュンと音をたて相手である翔を目掛けて一直線に飛んでいき、そのまま馬宙からの合図で翔の体に巻き付き、動きを止めた。
「…これほどまでに物質変化術を覚えてくるとは。ただの脳筋というわけではないみたいだね!」
「うぉぉぉぉぉぉっ…おりゃぁぁぁぁ!」
馬宙の唸り声と同時に翔の体をとらえた鞭はその身で宙を舞い、勢いよく地に叩きつけた。
「がはぁっ、この僕がおされている…だとっ!?」
一定時間が過ぎ、馬宙の剣は鞭から元の剣に戻った。
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