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「楽しかったよ、馬宙くん。だけど、貴族と平民の身だ。この差は、どう抗ったとしても…埋まらない。」
「…待てよ、翔。戦いは終わってないだろ!」
「なぜ立っているんだい?完膚なきまでに叩きのめされたじゃないか…」
馬宙の右目は青い光を放っていた。そしてその瞳にはαの文字が刻まれていた。
「その瞳…一体何だと言うんだ!?」
「見たこともないでしょう…オレにしかない、オレだけのスキル…いや、スキルさえ超越する…能力だ!」
「そんなもの聞いたことないぞ!」
「聞いたことなくても、あるものはあるんだ!こちらから行くぜ!」
馬宙はなんと術式を唱えることなく、高速で翔に接近して剣を振り上げた。
「ぐっ…今まで受けた剣で一番…重いっ!」
翔はそのまま吹き飛ばされた。というか、鍔迫り合いから押しきられたという感じだった。
「うぉぉぉぉぉぉっ!」
馬宙はそのまま剣を何回も何回も振り続けた。翔は何とか食らいついているが、食らいつくだけで精一杯だった。
「ぐわぁぁぁっ!」
「…っ!」
馬宙は倒れかかった翔の喉元に剣を向けた。
『そこまでです!勝者、蒼天馬宙剣士!』
「…あれほどの連続剣技、生まれてはじめて見たよ。貴族の間でもカッコつけ程度のモノなのにいざ面と向かって受けてみるとただカッコつけとバカにしていたことを撤回したくなるほど背筋が凍った。」
「オレだって、四属剣がただ者じゃないのは知ってたけど、ここまで凄まじいだなんて思ってなかった。貴重な一戦ありがとうな、翔。」
「こちらこそ、いい体験になったよ。ありがとう、馬宙くん。だが、この学院にはもう一人“四属剣”が存在している。ぶつかるだろうから、常に綱渡りだということを、忘れるなよ。」
「ああ!」
二人はガッチリと握手を交わした。その後、すぐに場内から一斉に歓声が上がった。
~予告~
僕の相棒はコマを進めたみたいだけど、僕も僕でやりたいことがある。だからこそ、僕もコマを進めさせてもらうよ。次回〈繋ぐスキル〉
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