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あれからオレ達一年生剣士は互いに熾烈な戦いを繰り広げ、予定通り20名の剣士が残った。その中にはもちろんオレの宿敵・陽輝も入っていた。
そして、僕らの先輩方もフィールド一帯を揺るがす大規模ソウルスキルで見る者や戦う者達を圧倒し、20名の選考が終わった。
そして、二日目も馬宙は雷の力を駆使する剣士・キラとの接戦を制し、三日目に行われる上位十剣士選考会への切符を手にした。
そして僕も…彼と同じ舞台に立つ切符を手にした。
そして今日から、三日目にして大修剣祭の本体とも言える上位十剣士選考会が始まる。
―早朝、馬宙と陽輝の部屋―
「なんかここまであっという間だったな、陽輝。」
「うん。だけど、僕たちは本当に強くなったね。みんなそう言ってるし、何より僕の体がそう言うんだ。」
「心と体は嘘をつかないからな。今日からは先輩方とも剣を交えるんだ。今まで先輩方の試合を散々見てきたけど、オレ達では遠く及ばない。」
「それでも勝つんだろ、馬宙は。」
「そういう陽輝だって、なんだか自信満々みたいな顔してるじゃん。」
「まぁね。何より側つきの剣士が見てるんだ…今さら負けましたなんてカッコ悪いでしょ?」
「そうだな!あともう少しだけ、ライバルとしてよろしくな…陽輝!」
「こっちこそ、改めてよろしく…馬宙!」
二人は握手を交わしたあと、それぞれ自主練に向かった。
三日目となる今回は、それまでの二日と違い、午前10時からの開催だった。そのため、馬宙や陽輝のように早朝に起床し、自主練に励む者も多い。
―裏庭の巨木―
陽輝にとってここは一番の練習場所だった。この巨木はなんと樹齢1500年以上を誇ることや二度の大災害を乗り越えたことによって得られた固さがあるからである。
(ソウルスキルをいちいち詠唱していたら、きっと先輩方に裏をとられて負ける可能性がある。現に、昨日のサイア先輩剣士もこの前言ってた〈マイエレメントウェイク〉を唱えずに氷を出していた。つまり…極論、口で術式を唱えずともソウルスキルを使うことはできる…)
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