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―その後、コロシアム控え室―
現在のランキングはアリーゼが暫定一位、“鏡鉄の鬼”こと生徒会議長のゴウキは二位、アリーゼには負けたものの、サイアはその後の試合で圧倒的な強さを見せ、三位に食い込んだ。
試合自体も進み、現在10位決定戦が行われていた。馬宙と陽輝は運営委員会から“台風の目”の扱いを受けたため、最後まで待機させられていた。
(…外では暫定十位が決まる試合が行われてるんだろうな。その試合の後で、オレ達の戦いが行われる。相手が誰なのか、もう分かってる。だけど…相手が悪すぎる。よりにもよって一番身近だったやつ…陽輝なんだ。)
馬宙が震えている理由は、陽輝が今大会で目まぐるしいほどの成長を遂げたからである。
(馬宙…君との約束は必ず果たす。でも、何回も心に言い聞かせたんだ、君に勝つんだって。例え倒れてもいい、今僕にできるベストを尽くして、馬宙を驚かせるんだ!)
陽輝も馬宙との戦いを前に今一度自分を奮い立たせていた。
―コロシアム内―
十位決定戦では三年生剣士で“反射術”を得意とするヴァリエと二年生剣士で陽輝と同じ連続剣技の使い手イザヨイが火花を散らしていた。
「父を忍に持つだけのことはあるな、少年!だが、オレはこの時を夢見ていた…上位十剣士になると!」
「父を忍に持つからこそ、オレは負けられない。例え鏡返しの術を使う剣士であったとしても、その気持ちに揺らぎの文字はない!」
とはいえ、両者とも散々ソウルスキルを使用しているため、消耗が激しく、いつ決着がついてもおかしくはなかった。
「…集え太陽の光よ!眼前の敵を射抜きし矢となれ!スキルコマンド!マイエレメントウェイク!」
ヴァリエの剣から目映い閃光がいくつも発射され、それら全てが光の矢のようになった。
「ぐわぁぁぁぁっ!…まだ、終わるわけにはいかんのだぁっ!スキルコマンド、ストライクチェイス!」
イザヨイもヴァリエに負けぬとソウルスキルを発動し、対抗した。
互いのスキルによる効果は互いの身を著しく痛め付けた。
「上位十剣士になるのは!」
「上位十剣士に名を連ねるのは!」
「このオレだぁぁ!」「このイザヨイだぁ!」
二人の剣が互いを一閃した。最後まで立っていたのは大方の予想通りヴァリエだった。
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