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馬宙の右目はこれまで彼が相手を倒してきた時のように青い光に包まれ、αの文字が現れていた。
「その目…あの日と同じ…」
「あの日は何が起きてどう使えばいいか分からなかった!だけど、目が覚めて…ある程度記憶が戻ったから、使い方が分かってきたんだ。今からお前の攻撃の全てを見切ってやるぜ!」
「………そうかい。君がそうやって相手の動きを“予測する”なら…僕はこの瞳で、予測を超えてやる!」
なんと、陽輝の右目にも赤い光とΩの文字がくっきりと浮かんだ。
「ここからは、どうなっても知らないよ!」
「それは君だって同じだろう、馬宙!」
二人は互いの剣を青と赤に光らせ、連続攻撃を始めた。木同士がぶつかるわけではなく彼らのソウルスキル…〈スティール〉と〈フォトン〉によって単純に二重強化された剣同士がぶつかるため、本物の剣同士のぶつかり合いと全く同じ音がコロシアムに響いた。
二人とも瞳の力によって身体能力のリミッターが外れているため、人間の…子供の域では不可能なレベルの早さで剣を振った。
数発音を鳴らしては離れ、またすぐに音を鳴らしてぶつかり合う状況は見ている観客たちを凍りつかせたり、はたまた驚きで包み込んだ。
―観客席―
マリナとエルシアが座っている横に二人を挟むように二人の剣士が座ってきた。
座ってきた剣士は初日で馬宙に惜敗した貴族剣士の翔と二日目に陽輝に負けた平民出身のガウムだった。
「わぁ、翔様にガウム様、どうしてここに?」
「馬宙は僕に初めて敗北を与えた剣士だ。そんな彼の姿をもう一度みたくてね。」
「ワイも同感や。陽輝のやつ、目が光ったと思ったら動きがえげつないことになったんよ。ちゅう訳やでそんな陽輝の強さの根幹は何なのかを見たいんや。」
「だが…さっきからあの二人が見えない…いや、違うか。目視が出来ないだけで、あの二人は剣を振っているはずだ!」
「どういうことですか?このマリナにも教えてくれますか?」
「うん。二人とも…いや、三人か。まぁ、単純に言うと、彼らは…僕らの目で追いきれない速度下で戦っているんだ。だから、僕らには赤と青の光の筋しか見えてないんだ。」
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