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「つまり、陽輝先輩と馬宙先輩は…」
「もう人間って呼べへんのか?」
「僕の推測が正しければ…そうなる。」
―一方、馬宙達―
「うぉぉぉぉっ!」
「はぁぁぁぁぁっ!」
二人は未だに勝負にケリがつかない状態だった。一進一退を絵に描いたような状態で、しかもソウルスキルを発動しっぱなしという極めて危険な状態だった。
ガギィィィン
「オレ達はお互いが師匠で!」
「僕たちはお互いが弟子なんだよ!」
グググ…
「だからこそオレは…」「だからこそ僕は…」
「「親友の壁を越えて、その手に勝利を掴む!」」
ガァァンという鈍く重い音と共に二人はお互い吹き飛び壁に激突した。
互いに譲れないものがある二人だからこそ、今こうして真っ向勝負をしているが、それを見ている者の中には今すぐやめてほしいと願う者もいた。
そう、陽輝の側つきの剣士エルシアだった。彼女は陽輝のとある秘密を知っているからこそ、彼の無茶を見たくはなかったのだ。
しかし、陽輝も馬宙も互角すぎて三回も試合時間が延びていた。一進一退故に進展はなく、ただ鈍い金属音が鳴り響き、その度に互いにすぐ駆け出して鍔迫り合いをする。そんな状態が何十分と続いた。
そして、五回目の延長…試合開始から一時間ほど経った所から大きく動いた。
「…ふぅ、ここまで長引くなんて。やっぱり強いな、陽輝は。」
「さすがにそろそろ限界が近いか…」
「「それでも…諦めるわけにはいかない!このチャンスを無駄にしないためにも!」」
二人は息が切れながらも、何度も攻撃を繰り返した。そして…決着の時が訪れた。
「「これが最後の切り札だぁ!」」
「スキルコマンドォ!」「マイエレメントォ…」
「「ウェーーーーーイクッ!」」
二人は互いの剣を地に突き刺し、精一杯叫んだ。次の瞬間、凄まじい規模の水蒸気爆発が二人をフィールドごと包み込んで発生した。
その後の判定結果は、あまりにも規模がすごかったことから後日伝えられることとなり、馬宙と陽輝は即刻医務室に運ばれた。
~予告~
上位三名と下位三名のみが決まった選考会。死力を尽くして戦ったオレ達の目の前に現れたのは…
そして、僕たちの知らないところで影なる陰謀が動き始めようとしていた。
次回〈影の思惑〉
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