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―お手洗い―
(…ひとまず血はとれた。けど、問題は右目だよな…グロい有り様になってないといいけど…)
「馬宙?」
赤みがかった茶髪の馬宙と背丈が大体同じくらいの青年が話しかけてきた。彼は馬宙の友人・陽輝だった。
「うわぁっ、ってすいません!誰ですか?」
「え?馬宙…僕のことが分からないの?」
「え、あ、あぁ…まったく覚えがないんだ。でも、昔友達みたいな子と一緒に覚えた剣技はさっき思い出せたんだ。」
「その昔の友達っていうのが僕だよ!もしかして、君も記憶喪失になったの?」
「君もってことは…お前もか?」
「うん、だけど全てを忘れた訳じゃないみたい。部分的に記憶がないっていうか…」
陽輝と名乗るこの青年もまた馬宙と同じく記憶喪失で、彼と同じく右目が見えない状態になっていた。
「そうだ、その…名前教えてもらってもいいかな?」
「…陽輝だよ。もっとも、パートナーだったミリアはどこかに行っちゃったみたいだけどね。」
「ミリア?その子の行方は分からないんだ。どんな子かは覚えてないけど…」
「悪魔族の女の子で僕と一緒にいることが多かったんだ。」
「へぇ~…早く見つかるといいな、ミリア。」
「…うん、そうだね。だけどまずは この学院を卒業するところから始めないとね。」
「あ、そうか。オレたちはこれでも一応は学生…なんだよな。」
「そう…だね。それにここは卒業しようにも方式が方式だから無事に卒業できるかすら怪しい所があるんだよ。」
「そっか…まぁでもさ、大丈夫だよ。証拠とか確信がある訳じゃないけど、ここは学院なんだろ?真面目に頑張ればどうにかなるって!」
「…そうだね!馬宙の言う通り、前向きに頑張るしかないよね!」
~次回予告~
ソウルスキル…それはこの世界に6年前から存在し続ける魔法とは違う未知の術。特定の術式を唱えることで発動し、発動者に様々な恩恵をもたらす。次回、〈心の属性〉
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