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「スキルコマンド…」
「ボディポジション・ソニックラン!」
二人は同じ術式を同じテンポで唱えた。
そして二人同時に相手に向かって飛び出した。
「うぉぉぉぉっ!」
「はぁぁぁぁっ!」
ものすごい早さで迫った二人がものすごい早さで剣を振り下ろしたため、お互いに勢いよく吹き飛んだ。
そのときに生じた音は明らかに木製の剣が出せるような音ではなく、ナイフとナイフがぶつかるようなレベルの音だった。
「これでまず一つ覚えたな、陽輝!でもさ、まだまだ覚えたいよな!」
「もちろんさ、じゃあ…スキルコマンド…」
「「マイアームズポジション・スティール!」」
なんとまたしても二人は同じテンポで同じ術式を唱えた。すると両者の剣は白い光を伴い、鉄のような重さになった。
「うおおおおおっ!」
「はぁぁぁぁっ!」
二人は剣を勢いよく振り下ろした。修剣場一帯に鈍く重い金属音が鳴り響いた。
そして二人はそこからなんと五分間も鍔迫り合いをした。
どちらも力加減は同じ、さらには物質金属化のスキルを発動していたとしても、発動タイミングが同じならば当然切れるタイミングも同じなため、このような状況になった。
やがて二人は、スキルの効果が尽きたところで素早く後ろに下がった。
「これで二つ覚えれたな!とは言え、これじゃあクラスの仲間を出し抜けるかというと…微妙なラインだな…」
「うん、頭のいい人はきっと属性解放スキルなんかも使う気がする。そうなれば僕らの腕一つでカバーできる保証は自然となくなってくる…」
二人がこう話していると、修剣場に白い服を着たショートヘアーの女性が入ってきた。
彼女は二人の先輩剣士・サイアだった。彼女は生徒会の副会長を務めており、ここに来たのは見回りのためだった。
「二人とも、お疲れ様。」
「「サイア先輩、お疲れ様です。」」
「その感じだと、二人は来週行われる昇格試験の一次の出場に向けての修練か?」
「「はい!」」
「今年は苦しいかもね。何でも“四属剣”の称号を持つ伯爵家の息子がいるみたい。」
「“四属剣”…って何ですか?」
「この学園でもほんの数人の“四つの基本属性を組み合わせて使う”修剣士達のことよ。基本的にはそれを表には出さないだろうけど。」
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